私はこの本を読む前まで女性専用というと語弊があるかもしれないが、そのような少年院があるということを知らなかった。
榛名(はしな)女子学園と言われる少年院で日々社会復帰に向けて奮闘している少女たちの生い立ちから犯罪に手を染め、どん底に落ちて這い上がろうとしている人生模様を赤裸々に綴っている。
筆者も言っていたように、決して犯罪・非行を犯した少女だけの問題ではないのだなぁと実感。取材に応じていた子ども全員が家庭環境に恵まれなかった子どもたちだった。
この本を読んで少しだけ思ったのが、少子化ってある意味自然の摂理なんじゃないかなということ。
子どもを作る、繁殖行為を行うというのは人間の本能であり、不変な事実だ。
ただ、数百年前に比べると人間の脳は進化しているらしく、人が得る知識量も格段に増えている。
そうなると本能にたどり着く前に理知的ないわゆる理性に判断を委ねることが多くなる。人の知性化によって、子どもを作ることが当たり前という概念から一歩引き、子どもを作ることによって自分にどんな影響を及ぼすかというのを人は考えられるようになったと推測する。
そこで、収入が少ないから子どもを育てられない、子どもを上手に育てていけるか不安などといったデメリット面がメリットより先に浮かんでくるのではないだろうか。
コンドームや避妊薬もそのデメリットを恐れたが故の産物だろう。
今回の本に登場した少女たちは客観的に見ると親に愛されていなかった子どもたちだ。
その親を見て、自分が親になる、なりたいと果たして思えるだろうか。
よりによって低賃金だの保育士の不足だのが叫ばれている日本だ。
ちょっと考えるとやはり愛情だけでやっていけるほど今の社会は優しくないと思う。
子作りもそのうち富裕層のみに与えられる機会となってしまうのだろうか。
でもそっちの方が案外まともな教育も受けられるしいいのかなぁ。でも一人の生産性にはやはり限界があり、多いに越したことはないのだろうか。
本の筋道からは大きく逸れてしまったが、そんなことを考えるきっかけとなった。