自転車、それはメリットとデメリットの振れ幅があまりに大きいものである。

今日、久しぶりに自転車で遠出をしてみようと思いペダルを漕いだ。

しかし、目的地は山を越えた先。山を切り開いて道を作った感じだ。しかし、立派な国道であり、舗装もされている。正直な話、「え?こんな山を登らないといけないの…」と先が思いやられた。

その予感は的中した。まるで高山病を患ったかのように息が苦しく、頭が重い。寒いと思って着ていたヒートテックなども脱ぎたくなるほど、自分の体は汗と熱を帯びていた。

やっと平坦な道になったと思ったのもつかの間、果てしなく続く道が心を不安にさせた。公衆電話はおろか、自販機などこの山には一つもない。

私はようやく悟った。ここは自転車なんかで来るべき所では無かったと。この急勾配の坂道は私を何十分も前から拒んでいたのだ。

私は諦め、元の道を引き返した。帰りは逆に何もせずとももの凄いスピードで自転車が進んでいく。

登るのは永遠、下るのは一瞬。

何十分かの時間をかけて登り、いざ下るときの所要時間は体感にして1分も無かった。

人生はこういうものなのかもしれない、とふと思った。

私のように山を登るのを諦める人間もいれば、乗り越える人もいる。

乗り越えた人間は当然素晴らしい。しかし、あえてリタイアするという選択もこれはまた、違う発見を生み出すのだと今回知った。

まぁ、あのような道を自転車で行くには流石に無茶だった・・・快晴だったとはいえ。

ただ、道を下る中で風を突っ切っていくあの感覚は中々素晴らしい快感だった。

このために山を必死に登ってきたと一瞬思った程だ。

普段は車しか使用しない中で、こういった新しい喜びを体感できただけでも今日は素敵な日だったと言えると思う。

家に帰った直後は頭痛が酷かったが。