↑THE HIGH-LOWS↓(ハイロウズ) 個人的スタジオアルバムランキング

前置きなんて不要。さっさと行くぜ。

 

 

 

 

 

 

 

8位 THE HIGH-LOWS(1995)

ザ・ハイロウズ登場!!

すまない。ミサイルマン」や「スーパーソニックジェットボーイ」そして「日曜日よりの使者」といい感じで名曲が散りばめられているが、私の中でこれは名盤だ・・・とは未だになっていない。なんでだろう。THE BLUE HEARTSの解散後ということもあって期待もあったと思うが、それを意図的に振り払ったようなアルバムに感じる。

この記事を書くにあたって、改めて聴いてみたがやはりどこか試行錯誤感が感じられる。ハイロウズのスタイルをこのアルバムで模索している感。Tigermobile以降のアルバムの土台と言ってはこのアルバムに失礼かもしれないが、そのような役回りでもあるのではないかなぁと。

しかしながら「ヤ・バンバ」とか「バナナボートに銀の月」などこのアルバムでしか聴けない曲もあるし、「BGM」とかは白井さんのピアノが光る良曲。これを実質的な最下位にするのはかなり気が引けるくらいの良盤であると思う。

だがランキングはランキング。上位があれば下位もあるということで勘弁してほしい。

 

 

 

 

 

 

7位 HOTEL TIKI-POTO(2001)

五つ星!!★★★★★!!

キャッチーさはやや控えめと感じるこのアルバム。「コスモス」とか恐らく何十回かは聴いているのに、タイトルを見ただけではどんな曲だったかを思い出せない。しかし、「どうして僕は殺人をしないのだ?」といった急にグサッとくるリリックを投げかけてきたり、何にもないときにふと聴きたくなるようなアルバム。「十四才」というハイロウズの中でも超傑作の曲が光るものの、「フルコート」や「天国野郎ナンバーワン」を両腕に置き、「ニューヨーク」や「カレーうどん」などややスローテンポな曲も違和感なく溶け込んでいて、ハイロウズらしさが出ているアルバムだと思う。

真剣に聴くというよりは、深夜ニ時くらいに静かな町をダラダラ徘徊しながら聴きたいアルバム。

 

 

 

 

 

 

6位 ロブスター(1998)

無敵!!炎の鋼鉄集団(ロブスター)、襲撃!!

ハイロウズと言ったらコレ!という人も多いであろうこのアルバム。曲だけ見ても「不死身のエレキマン」「千年メダル」「真夜中レーザーガン」とハイロウズを代表する曲も多い。

個人的には「コインランドリー」や「ピストン」といった疾走感のある曲や、60年代のアメリカンポップスを感じさせる「風の王」「夏の地図」も好き。

ではどうしてこの順位なのか。これは理論ではなく、感覚的にしか言えないのだが、なんとなく統一性が無いように感じる。では他のアルバムに統一性があるか?と問われると口籠ってしまう部分はあるのだが、個人的なランキングなので勘弁してほしい。

余談にはなるが、マスタリングのキンキン具合もひょっとしたら多少なりとも影響しているかもしれない。少し聴くのに疲れるアルバムだが、前述の通り、ハイロウズを感じるには避けては通れないアルバムである。

 

 

 

 

 

 

5位 Do!! The★MUSTANG(2004)

疾走!!馬並の極太ロック・サウンドでノックアウト!!

このアルバムがロブスターより上?と思う人もいるかもしれない。このランキングを作るにあたって一通りアルバムを聴いたのだが、不思議とこの順位となった。自分でもちょっと不思議。

キーボードの白井さんが脱退し、新体制で挑んだハイロウズ最後のアルバム。ハイロウズサウンドに大きく寄与していたキーボードの音が一部の楽曲を除いてほとんど無くなり、良く言えばシンプルなサウンドになった。悪く言えば今までのハイロウズらしさが失われたと言える。

しかし、個人的にはこのシンプルなサウンドは結構好みである。

代表的なのは「暴力アラウンド・ザ・クロック」だろうか。白井さんがいたら絶対にキーボードが入っていたような曲。このシンプルさでもハイロウズの良さは失われていないと個人的には強く感じた一曲。

というかこのアルバムは盛り上がるところと落ち着くところが結構ハッキリしており、聴きやすいなぁと感じる。「ゴーン」のかっこいいギターサウンドから始まり、このアルバムからは唯一ベストに収録されている「荒野はるかに」まで続き、「アネモネ男爵」から「ブラジル」までで少しゆったりした曲で小休憩。「暴力アラウンド・ザ・クロック」から「スパーダー・ホップ」まで、「ザリガニ」から最後の「プラプラ」までと意図的かどうかは分からないがメリハリがあるアルバムだと思う。

でもどこかかなしくなってしまうアルバム。落ち着いた曲もあるものの、そこまで悲しくなるような曲調はそこまで多くない。でも何故か聴き終わった後は祭りの後の静けさのような虚脱感が生まれる。無意識に最後のアルバムということを意識してしまうからなのだろうか…

「足がはち 足がはち 足がはちなら 命はよん」

なんだかハイロウズの終わりを暗示しているみたいだ。絶対考えすぎだと思うけど。

 

 

 

 

 

 

4位 angel beetle(2002)

驚愕!!史上最大級!!

ハイロウズの中でも大絶賛されるようなアルバムではないのかもしれないが、好きだ。ハイロウズサウンドってこれだよねという感じの「Too late to die」で幕が開き、ハイロウズにしては珍しい歌物「ななの少し上に」が続く。ななの少し上とは何だろうね。北極より北って歌詞にもあるから単純に北極星を指しているのかなぁ。「夜空を踏んで月を蹴る」という歌詞。脱帽。

3曲目の「スカイフィッシュ」個人的な座右の銘でもある「ロックンロール以外はたいしたことじゃない」と言い放つセンス。しかもそれをスカイフィッシュが素早いとだけ歌っている曲に織り交ぜるところがもうね。

このアルバムの中でも特に「映画」という曲が愛おしいほどに好き。特にflip flop2に収録されているモノラルバージョンが。もちろんアルバムバージョンも最高。ハイロウズの曲は全く意味のないものから逆に意味が深すぎて意味分からんという振れ幅が大きいのが特徴な気もするが、この曲は歌詞もシンプルで単純明快。だけど、何故か薄っぺらい曲にはならない不思議。「僕のポケットにはいろんな色の飴 どれにしようかな 決められないんだよ」色々な解釈もあるし、上手く言語化できないけど何とも言えぬ切なさと甘酸っぱさが感じられる。ここに出てくる飴が単純に色だけが違うのか、フレーバーも異なっているのかは分かりませんが、「あなたに会えたらなあ」のあなたにプレゼントとも呼べないちっぽけな飴だけれども、自分のことをもっと知ってもらいたいし、こっちも知りたいという苦心している情景が浮かぶ。「約束できたらなあ」という歌詞から読み取っても、映画を見に行こう、と約束を取り付けられるほど親しい間柄でもないのが窺える。でもどこかその恋煩いを楽しんでいる様子も思い浮かぶ。そんな曲。

そして「ecstacy」を経ての「一人で大人一人で子供」ザ・真島昌利という歌詞。うんざりすることも、絶望することも当たり前と簡単に言っちゃうのがねえ。あきらめることも簡単すぎてつまらないと。ここらへんの歌詞は大人に言っているのかなと推測。子どもの頃にはなかったうんざりすることや絶望すること、あきらめてしまうこと。

でも腰は大丈夫だから、まだ動けるよと。「腰は大丈夫」と決して感動させるようなフレーズを使わず、むしろ笑い飛ばしてくれと言わんばかりの言葉なのにやっぱりグッときちゃう。二番の歌詞にもある通り、今この瞬間を生きるという考えはヒロトマーシーの共通項なんだろう。

なんかつらつらと書いてしまったが、自信を持って名盤と呼べるアルバム。

これを書く際に↓のangel beetleのインタビュー動画を閲覧。

www.youtube.com

「『バームクーヘン』か『Relaxin'』かなんかのときにマーシーが僕に「俺はもう全部出す」って言った で「お前は歌うか?」って言うから「うん 出せよ 歌うから」という話をしたの だから「誰にもわからない 俺にしか わからないことを書く」「けど歌うか?」って言うから「いいよ それで君はいいのか?」「お前が歌うんなら いいよ」ってそういう話をしたの(甲本ヒロト)」

「誰もわかんない 僕さえもわかんないけど そのイメージは僕の中にしっかりとあるから もしかしたらそれをただ吐き出すことによって そのイメージを共有かもしれないと思ったんだ 言葉の意味は理解できなくてもその曲から受けるイメージで 「生きてやるぜ!」っていう気持ちになってくれればそれでいいや(甲本ヒロト)」

この言葉がこのアルバムの本質。この言葉に勝るレビューは無い。けれども少しだけ書かせてほしい。このアルバムはなぜかよく分からないけど生と死のイメージを感じる。「Too Late To Die」とか「俺たちに明日はない」のボニーとクライドとか、「マミー」とか直接的ではないけどなんか感じるよね。「血を拭きたいんだ」とかさモロだよね。でも最後は死より生が勝って、本当に不思議なんだけど生きてやるか~みたいな脱力してるんだけど、強い生きる気力というか力を与えてくれる。そんな名盤。

 

 

 

 

 

 

3位 Relaxin' WITH THE HIGH-LOWS(2000年)

嗚呼!!感動の名盤!!

初手の「青春」に全てを持っていかれそうになる。CMなどでも使われており、ハイロウズの中でも比較的一般的な認知度高めの曲。まさしく青春という曲。先輩を殴ったこともなければボコボコにされたこともないのに、生徒同士のケンカって何故か青春感あるのは本当になんでなんだろう。「散文的に笑う」とか「心のないやさしさは敗北に似てる」というあぁ…言いたいことは分かるよ、分かるよマーシー…でも自分の語彙力が無いが故に言語化できないよ…というフレーズを詰め込んだ一曲。

ヒロト曲の「NO.1」もまた名曲。人は幾つかの悲しいことや嬉しいこと、色んなNO.1を更新していって、自分自身を形成していくんだぜと言っている気がする。青春の後に来ている分個人的には印象薄めの曲だなと思っていたが改めて聴くと容易に前言撤回可能。

そして問題作?「岡本君」詳しいバックグラウンドは分からないが、恐らく友達だった岡本君が亡くなり、岡本君と遊んだ夏に思いを馳せているという単純と言えば単純な曲だが、何とも言えぬ儚さを感じる。夏の終わりの夕焼けのように悲しくなるのだ。そして、「君のように見える人は 誰もいないだろう」という歌詞。君のような(素晴らしい)人はいないという意味なのか、君のような独自の視点(どのような視点かは分からないが)で物事を見ることがでる人はいないという意味なのか、はたまた両方の意味なのかは分からない。だが、一人の友人をこのような視点で見れる真島昌利にも「君のように見える人は 誰もいないだろう」と言いたい。

「パンチョリーナ」はこのアルバムに置いて箸休め的な役割を担っていると思う。七曲目の「ボート」八曲目の「ミーのカー」も同じく。全ての曲がうわあ!なんだこの曲は!この歌詞は!感動する!考えさせられる!というアルバムよりはなんだこれ(笑)という曲が点々と散りばめられているのがハイロウズの良さなんだろうと思う。

話を少し戻して「夕凪」うーんよく分からん。R作戦B2号が実際にあった作戦で、天皇を殺してしまおうという爆破テロの名称らしい。「魚は頭から腐る」という歌詞にもある通り、組織も軍隊も悪くなっていくのは上層部からと言っている。マーシーが何を伝えたいかはよく分からない。何とも言えぬ怪しげな感じが漂う。そして最後の子どもなのか女性なのか不明な笑い声。意味不明さがとても怖いね。その笑い声をぶった切って

「不死身の花」この流れが何故か無性に好き。かっこいい。この「不死身の花」は結構分かりやすい歌詞。悲しいけど。枯れない花は本当に花か?と問いかけてくれる。やっぱりいつかは枯れてしまうから、死んでしまうから命というものは輝くものであって、永遠はそこまで大した価値はないと言っていると解釈している。いつまでも変わらないものをここでは「燃えないゴミ」と結構ぶっきらぼうな言葉で表現しているが、

「さようならが寂しくないなら 手放す時ためらわないなら」その程度のものは不必要。いつか無くなってしまう、消えてしまう、死んでしまう、だから大切にするし、大事にするし、今日も花に水をやる。ブルーハーツ名義で出した「歩く花」もそうだけど、凄い感性しているし、比喩表現がヒロトは素敵。

しかし、この曲を聴いて思ったのが、不死身の花を欲しがらない人って結構強い人なんじゃないかなということ。強いというのは肉体的な話ではなくて、精神的な強さ。あえて歌詞の意味を反対にしてみた。

「さようならが寂しいのなら 手放す時ためらうのならば」この歌詞でも違和感はない。

自分はどちらかというとこっちタイプの人間かな。いつか失ってしまうのであれば最初から手に入れてしまわない方がいい。

でもヒロトはたぶん、いつかは枯れてしまうけれど枯れる悲しさ以上の喜びをもたらしてくれるよと言っている気がする。自分もそう思えるようになりたい。

「ボート」「ミーのカー」で箸を休め、「完璧な一日」へ。この曲はもう堪らなく好き。声を大にして好きと叫びたい。ピアノのイントロから入り、ライラック色の風に 活気づいた水が踊る 乱反射するお日さまが 笑う葉っぱを濡らしてる」ぐはああああ。風に色をつける感性も好きだし、恐らく雨が上がった時だと思うが水たまりが風で飛沫を上げる様子を「活気づいた水が踊る」と表現するところが天才という言葉では足りない。太陽光を浴びる葉を「笑う葉っぱ」と言い換えて、雨に打たれた葉っぱに陽が当たっている様子をお日さまが濡らしてると表現しているのも、まるで詩のような美しさ。これだけでも十分だと思うが、「それで君がそばにいれば完璧な一日なのに」と欲張るところ。冒頭の表現がよりの必要性を際立たせているのがいいよね。

「ひょうたん橋の手すりに 腰を下ろし日なたぼっこ じいさんの連れた犬が 植え込みにションベンかける」「井の頭そばを食べて 冷たい生ビールを飲む 三杯ほど飲んだとこで いい気持ちになってきたし」想像するだけで幸せな様子が目に浮かぶし、良い一日を謳歌しているのが分かる。分かるけど、やっぱり君がいてほしい。もう溜息しか出ないねこの完璧な一曲は。サウンドもすごく好きなんだ。バグパイプなのかよく分からないけど特徴的なリフレイン、間奏のギターソロ、ビートルズのStrawberry Fields Foreverのイントロを彷彿とさせるメロトロンのような音、アウトロのアルペジオ。あれこれ言うのも蛇足なので完璧とだけ言っておく。

この余韻を引きずりながら、「ジャングルジム」これも「完璧な一日」に負けず劣らずの傑作。歌詞自体にそこまで深い意味は無さそうだが、体験したこともないシチュエーションなのになぜか想像できる。乾燥した冬は大気中の水蒸気が少ないために星空がよく見える。幼い頃に一度は登ったことがある人が多いであろうジャングルジム。登る際に歯や口にジャングルジムが当たり、痛い思いをした人もいるはず。「鉄の味がする」は単純にジャングルジムは鉄だから舐めたりしてみると鉄の味がするよねという意味と、「グギンと打ちつけた」ことによる出血による鉄の味のどっちだろう。恐らく後者な気がするけど、どっちでもいいと思う。カラッポだ、一人で何やってるんだと自嘲しながらもジャングルジムに登り、冬の夜空を見上げる。

「優雅な月より輝けオレの背骨 夕べの夢より輝けオレの力」うん。正直よく分からないね。でも、なんとなく前に進もうとポジティブな心境を表していると思う。田舎のアパートの一階に住んでてさ。冬の夜に少しでも高いところで星を見ようと考えると、意外と場所が思いつかない。山とかがあればいいけど無いのであればジャングルジムに登って見るって案外現実的なのかもしれないね。

「ヤダ」はヤダ。

タンポポ」これも好きだね~。ライブとか自分で演奏するならhang on versionなんだろうけど、このアルバムの流れならこれが正解。これもただ単にタンポポの綿毛が飛んでいくよふらふらふらふらと。「空には大きな獅子が吠えている」という歌詞もタンポポは英語で「ダンデライオン」なのでそれの比喩なのかなと。この曲で一番グッとくるのが「綺麗じゃなくても美しいものがぼくは欲しいんだ」というフレーズ。やっぱりヒロトマーシーは感性が似ているんだなと実感。

それでもこのアルバムは「魔羅 (シンボル) '77」と「バカ (男の怒りをぶちまけろ)」のだいぶ砕けた曲が続いて終了。ラストの曲だから・・・と意識しないで作っているのが逆に好印象。

このアルバムを総括してみると、個人的には大傑作と胸を張って言える作品。特にこのアルバムの真島昌利は神がかっている印象。事実、ハイロウズのアルバムの中でこのアルバムだけ、マーシー作が8曲、ヒロト作6曲とマーシーの曲が多い。他のアルバムはヒロトマーシーで綺麗に半分ずつとなっている。まぁそこまで本人たちは意識していないだろうけど。ザ・ロックン・ロールという曲は少ないものの、「岡本君」「完璧な一日」「ジャングルジム」「タンポポ」「不死身の花」などとノスタルジーの一番美味しいところを凝縮した曲が満載。

このランキングを作るにあたって、↓の動画を見てみた。

www.youtube.com

「男性のマッチョな汗を今回のアルバムには非常に感じる(甲本ヒロト)」

・・・感じるか?感じるかなぁ?いやたぶん感じるのだろう。マッチョな汗はともかく、このアルバムは非常に夏を感じる。真島昌利「Rock'n'Rollは夏に似ている Rock'n'Rollは永遠に終わらない夏だ」となにかで語っていた。つまり、

ロックン・ロール=夏=Relaxin' WITH THE HIGH-LOWS

の方程式が出来上がる。

このアルバムはまさしくロックン・ロールなのだ。

 

 

 

 

 

 

2位 Tigermobile(1996)

爆走!!誰かヤツらをとめてくれ!!

「俺軍、暁の出撃」からの「相談天国」の流れは全アルバムの中で一番好きな流れ。この二曲でもうこのアルバムのブレーキは完全にぶっ壊れており、最後まで走り切ってやるという熱が伝わってくる。キャッチコピーがこのアルバムを物語っている。この二曲は特別深い意味は無いと思われるが、何でもできる全能感を与えてくれる。

「俺は一人でも軍隊 最強無敵だ」かっこいいね。一人でも、孤独でもこの精神があれば何でもできそう。この曲はマリオでいうスター。この曲を聴けばアルバムが終わるまで俺は無敵だ。でもその後に「相談しようそうしよう」と続くのがちょっと現実的なのが笑える。相談って基本悩みだったり良くない事があること前提だと思うけど、「相談天国」そんな悲壮感を微塵も感じさせない。なんとなくだけどこの2曲は個人的にはセットのイメージ。

「俺メカに弱ーから」と自分の弱点を晒すことによって完全なオレへと昇華させてくれる「オレメカ」「抱きしめてくれ 一晩中」といったストレートな歌詞はザ・クロマニヨンズの「ペテン師ロック」でも用いられているが、この頃から全く変わっていないんだね。ヒロトは。機械とかメカニックに強い人のイメージって大半は男性を想像してしまう。ジェンダーレスとあれこれ言われている現代でも自分は無意識に思ってしまう。でも誰にでも不得意なものはあるよね。それが出来ない、苦手だと言い放つ勇気。人生でも大事。

「アレアレ」は結局なんなんだろう。アレとは?少なくとも前に進むと言ってるからポジティブなものとして捉えているけど。何をしようとも、何もしなくても金はかかる。テレビも新聞も無意味。アレを前進させるのだ。

「レッツゴーハワイ」寒いからハワイに行こう。楽しいよとマーシーが言ってる。

そしてこのアルバムのキラーチューン「ロッキンチェアー」地獄のような毎日で疲れてるから飯を食べるのも息を吸うのもめんどくさいよ~ロッキンチェアーで眠りたいよ~という深い意味もない曲。しかし、とにかく演奏がカッコよすぎる。印象的なギターリフからサビのコーラスもたまらん。思わず身体が動いてしまう。それはまるでロッキンチェアーのようにゆらゆらと。1.05倍速くらいで聴くとよりライブのような疾走感が楽しめる。

「Happy Go Lucky」行き当たりばったりという意味らしい。「決めたことはちゃんとやりたい いつだってそんなふうに思う 思うけどゴロゴロしてしまう」あるあるすぎて共感しかできない。でもそんなもんだよね人生。

「ヌゲヌゲ」これも深い意味はないんじゃないかな。言葉遊びの曲という印象。たぶん下ネタなんだろうね。でもこんな歌詞でもちゃんと曲として成立してしまうところがすごいところ。

「変身リベンジャースーパーファイトバック」この曲もよく分からないんだけどメロディがかなり好みで好き。十億年ほどすべてなにもなかったことにしろ。すごいスケールの壮大さを感じる。リベンジャー(復讐人)に変身して、やられたんならやり返せ。それも三倍返しで。打ちひしがれたときに聴くともう一度立ち上がらせてくれる力を貰えそうな曲。

「ブンブン」これは聴いたとき、参ったと思った曲。夏になるとみんなから嫌われる蚊の視点に立つ感性が素晴らしすぎる。しかも、ちゃんと人間のことを心配しているところが泣ける。単に良質な血を吸わせてくれないと困るからという自己都合の下で心配しているだけなのかもしれない。だけど、絶対にツンデレ的な要素がこの蚊にはあると個人的には確信している。

「べっ、べつにお前のことなんか心配してないしっ!お前の血を吸わないと生きていけないから仕方なく心配しているだけ! 勘違いしないでよね!」と勝手に妄想。

まあ「人間は歯車じゃないんだろ」「君のかわりはどこにも居ないんだろ」と言っている時点で根っこの部分のやさしさが垣間見える。蚊だって一人の人間に固執する必要は無いからね。他の人から血を吸えばいいわけだし。それでも「また来るぜ」と一人に執着しているところが、蚊の一人の人間に対する強い愛を感じる。人間側からしたらたまったもんじゃないけどね。蚊の気持ちなんて知ったこったないし。ある意味一方通行的な恋愛だよね。これはもう実質ラブソングでしょ(?)

「シェーン」西部劇映画「シェーン」を題材にした曲。滅茶苦茶思い入れが強いかと問われるとそうでもない曲だが、「0コンマ3 まさに一瞬で 息の根止めちまうかも」というフレーズが定期的に頭で繰り返される。シェーンに追い付け追い越せでガンマンを夢見る少年が題材といった感じかな。

そしてラストの「月光陽光」おっと~?この曲はなんか深い意味があるっぽいぞ。

「胸の奥でベルが鳴る 発車のベルが鳴り響く よく晴れた夏の朝は 一かけらの感傷だ」 「ためこんだ知識がクサれば 知ったかぶりより直感だ」おいおい。ハワイはいいとこだぞ~と言ってた人が書く歌詞じゃないよ。よく晴れた夏の朝にちょっとだけセンチメンタルな気分になることあるよね。やっぱり夏ってなんか賑やかと寂しさの表裏一体だと思う。「今だけが生きてる時間 なのになぜ待っているのだ」シンプルな言葉なんだけどやっぱり自分が受け身の性格だからかちょっとドキッとさせられる。この言葉を言えるような人間になりたい。

この曲で一番好きな歌詞は「遠くからは大きく見える 近づけばそれほどじゃない」これなんて言えばいいんだろう。自分にはハードルが高くて敬遠していたものに勇気を出して手を触れてみたら意外と大したことじゃなかったみたいな感覚かなぁ。札幌市時計台とか?違うか。

とまぁ総括してみるとハイロウズの中でももっと評価されていいアルバムだと思う。ブルーハーツを例に挙げると、衝撃の1stアルバムと頂点を掴んだ3rdアルバムに挟まれているYOUNG AND PRETTYのような立ち位置になっていてもおかしくないんじゃないかと思いつつ、大健闘の第二位。ヒロトマーシーのキャリアを通しても、個人的にはかなり上位に来るアルバムだ。

考察するような曲がそこまで多くないこともあって、三位のリラクシンよりも文章量に対する熱量低めと思われてもおかしくないが、とにかくこれは聴いてみないと良さが分からない。こんな文章だけではこのアルバムの良さは0コンマ3くらいしか伝わらない。

これを見ている人は今すぐこんなくだらない文章を見るのやめてCDでもレコードでもスマホでもなんでもいいからこのアルバムを聴くべきだ。音を楽しむのが音楽の真髄なのだから。今だけが生きている時間なのだから。

 

 

 

 

 

 

1位 バームクーヘン(1999)

暴食!! 特製バームクーヘンは禁断の味!!

はいー。ハイロウズファンにとっては納得の1枚。意外性が無いと言われたらそれまでだが、やはり名曲の多さ、アルバムの流れの強さには逆らえない。

しかしあまりにも意外性が無さ過ぎてひょっとしたら過大評価しているのでは?と思い、ちゃんとアルバムの頭から最後まで聴いてみた。

うん。問題ないね。納得の第一位。

罪と罰」のこれぞロックンロールというギターソロから始まり、ハイロウズサウンド全開の「二匹のマシンガン」、大名曲「ハスキー(欲望という名の戦車)」、真島昌利の切ない歌詞が光る「見送り」・・・といったハイロウズと言ったらコレというアルバム。ハイロウズのアルバムで最短の45分という短さながらバームクーヘンをホールごと食べきっちゃうような満足度が得られる。

正直このアルバムをあれこれ語るのは野暮ったい。

一つだけ言いたいのはちゃんと「バームクーヘン」という一つのコンセプトがあること。他のアルバムはなんでこのタイトル?というものがほとんどだが、これだけはちゃんとバームクーヘンを作ろうという明確な意思が感じとれる。アルバム最後の曲である「バームクーヘン」「翼を持って生まれるよりも 僕はこの両手が好き」翼は飛ぶためにあるもの。だけどこの両手はなりたい形次第でロケットを飛ばすこともできるし、コーヒーを飲むことも、バームクーヘンを食べることだってできる。もちろん翼にもなる。出まかせを現実に変える力が人間にはあるのだとヒロトは言っている。バームクーヘンの穴を埋めてみたいなぁ…これも現実になるのだろうか。

 

以上、個人的な↑THE HIGH-LOWS↓アルバムランキングでした。疲れた。ロッキンチェアーで眠りたい。