19条 思想・良心の自由
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない
思想良心・・・個人的、精神的な考え、また、考えないことの自由。(沈黙の自由)
謝罪広告事件
選挙中に立候補したXがラジオ・新聞を通じて、対立候補Yが汚職をしていたと公表。
Yは名誉毀損で訴えた。裁判所はYが汚職をしていた事実は無く、Yの名誉を毀損したとした。そしてXに謝罪広告を新聞で出せとした。
それにXは反発。謝罪の強要は19条の保障する良心の自由を侵害しているとして上告。
結果、人格の無視や制限をしていたことは認めた。しかし、単に事の真相を告白し、陳謝の意を表明することに留まる程度であれば、憲法違反ではないとした。
Xは在学中に政治活動を行っていた。高校受験で幾つかの高校を受験したものの、全て不合格。Xはこれは内申に悪いことが書かれたから落ちた。19条の違反だとした。
結果、思想・信条そのものを記載したものではない。事実だけを書いたものである。
よって憲法違反ではないとした。
信教の自由
信教とは・・・宗教を信じること
宗教とは・・・人間の力、自然の力を超えた存在を中心とする観念。
また、それに基く儀礼、組織を備えた社会集団。
信仰の自由→絶対的自由→規制は慎重に行う
・宗教的行動の自由
・宗教的結社の自由 この二つは公共の福祉による制限あり。 例 オウム真理教
特権の付与の禁止
宗教法人に対する非課税措置は「特権」にあたらない。
特定の宗教団が保有する建築物や仏像に対する補助金も「特権」にはあたらず。
明治憲法下では国教のみの信仰が強制。「法律の留保」を伴わない特性。
法律の留保とは、法律の範囲内であれば自由であるということ。
政教分離原則・・・国教と宗教の関係を引き離すこと
国家は宗教的中立性を明示。公金の支出は禁止。
しかし、青山学院大学などのキリスト教系の大学に補助金を与えないのは法の下の平等に反する。
国家と宗教の結びつきはどれだけ許されるのか。
それを判断するのが「目的・効果基準論」これを基準として判断している。
目的・効果基準論・・・目的と効果の二つに着目して、政教分離に反するかどうか。
目的・・・国の行為の目的が宗教的意義を持つかどうか。
効果・・・行為の効果が宗教を援助、助長することになっているか
津地鎮祭事件 市の金で工事の無事を神主に委託して祈るのは憲法違反かどうか。
目的に着目・・・宗教的意義は無い。神主が布教のためだったらアウトだが、ここでは土地の平安・工事の無事を願うのが目的のため、要件は問題ない。
効果に着目・・・一般的な慣習に過ぎない。節分に豆をまく、クリスマスにツリーを飾るのと同程度のことである。神主に、援助、助長、促進、圧迫、干渉といった効果はもたらされない。よってこれも問題ない。
よって津地鎮祭に対する公金支出は合憲であるとした。
愛媛玉串料訴訟 玉串料(靖国神社、護国神社の祭祀において神前に供える金)
を知事が出したのは憲法違反かどうか。
目的に着目・・・宗教上の儀式を行うために玉串料は使用される。
よって、宗教的意義を持つためアウトである。
効果に着目・・・県知事は玉串料を奉納した宗教団体だけを援助したことになる。
よってこれもアウト。 結果違憲判決となった。
靖国参拝訴訟 大臣が個人として靖国神社を参拝するのは違反かどうか。
人が参拝する行為は干渉を加える性質ではない。
仮にその行為で他の人間が不快の念を抱いたとしても問題ない。
よって合憲。
自衛官合祀訴訟
亡くなった自衛官の奥さんはキリスト教徒。職務執行中に殉職したため、自衛隊と仲の良い組織「隊友会山口県支部連合会」は自衛官を靖国神社に合祀(祀ること)した。
しかし、奥さんはキリスト教徒だったため、滅茶苦茶ショックを受けた。
奥さんは宗教的人格権が害されたとして損害賠償、合祀申請手続きの取消を請求した。
結果は宗教上の人格権は認められないとした。また、合祀申請は隊友会単独の行動のため、宗教的活動ではない。よって政教分離の原則に違反しないとした。